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名古屋地方裁判所 昭和53年(わ)116号 判決

本籍

名古屋市天白区天白町大字平針大橋一二九八番地

住居

右同所

会社役員

岩本彦一

大正一四年三月六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官浅野義正出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五〇、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、愛知郡日進町大字折戸字藤塚八二番地の五において岩本製作所の名称で農業用機械製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一、昭和四九年分の実際所得金額は四三、八九八、〇〇七円で、これに対する所得税額が二一、二四三、六〇〇円であつたのにかかわらず、売上の一部を除外し、経費を水増計上して簿外資産を蓄積する等の方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一四日、名古屋市瑞穂区瑞穂町西藤塚一番地の四所在昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額は九、〇一八、〇三五円で、これに対する所得税額が二、〇〇四、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一九、二三九、〇〇〇円を免れ

第二、昭和五〇年分の実際所得金額は三九、四五二、八二〇円で、これに対する所得税額が一八、〇二八、六〇〇円であつたのにかかわらず、前記同様の方法で所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年三月一五日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額は九、二八〇、七六九円で、これに対する所得税額が二、〇一一、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一六、〇一七、二〇〇円を免れ

第三、昭和五一年分の実際所得金額は五一、七八七、三七一円で、これに対する所得税額が二六、一三四、九〇〇円であつたのにかかわらず、前記同様の方法で所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年三月一四日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一一、三二九、一三四円で、これに対する所得税額が二、九一二、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額二三、二二二、〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一三通)及び検察官に対する供述調書

一、被告人作成の上申書一三通

一、岩本ミチコの大蔵事務官に対する質問てん末書(三通)及び検察官に対する供述調書

一、天野久夫の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の52・4・25付調査報告書

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の52・11・7付証明書二通(ただし、昭和四九年度分所得に関するもの)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の52・11・7付証明書二通(ただし、昭和五〇年度分所得に関するもの)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の52・11・7付証明書二通(ただし、昭和五一年度分所得に関するもの)

(法令の適用)

一、判示各行為につき 所得税法二三八条一項、二項

一、(併合加重) 懲役刑につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)、罰金刑につき、同法四八条二項

一、(労役場の留置) 同法一八条

一、(刑の執行猶予) 同法二五条一項

(裁判官 木谷明)

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